塗香から知る 今も変わらぬ”香十徳”

塗香

塗香から知る 今も変わらぬ”香十徳”

ここ最近のマイブームは、都内のホテルSPA巡り。

 

優雅で格別な時間を約束してくれるSPAタイムは、経験するべきことと自分に言い聞かせ満喫してしまうのです^^;

 

ここ十数年、数々の外資系ホテルが東京に進出したせいか、老舗ホテルもリニューアルをし、ホテル戦争も盛んになるところで、このコロナ禍になってしまったので、インバウンドで活況の時期から比べれば、今は静かな時間が流れていて、ゆっくり時間を過ごすには絶好の時期なのかも。

ただ、徐々に海外からの観光客は戻り始めたところなので、この静寂な時間もいつまでかな。。。と思いつつ。

こんなに一流ホテルが集まると、魅力的なSPAばかりで選ぶのに迷ってしまうけれど、選んでいる時間も私にはわくわくしてたまらない。

 

さて、今回は、『SWISS PERFECTION』のフェイシャルを受けたくて、某ホテルのSPAに。

早速、受付で案内されたソファに座ると、その横の飾り棚に、?って見入ってしまうものが飾られていた。

 

極上 きよめ香

塗香

 

寺院・神社に参拝される前、写経をされる前に手のひらなどに付けて、精神を清める為にお使い下さい。と書かれている。

 

写経をしている私にとって、こんな清め方があったなんて・・・と、恥ずかしながら初めて知った。

なぜSPAに置かれているのか・・・

対外国人向けのパフォーマンスなのか・・・

とにかく「これ買わせて下さい!」と即購入。

 

何やら 裏には赤紙に 香十徳 と書かれていて、香に関する訓や効用を記したもので、香りは量ではなく、質が重要としている。

 

感格鬼神  感は鬼神に格る

– 感覚が鬼や神のように研ぎ澄まされる

清淨心身  心を清らかにす

– 心身を清く浄化する

能除汚穢  よく汚穢(おわい)を除く

– 穢(けが)れをとりのぞく

能覺睡眠  よくねむりをさます

- 眠気にとらわれず集中してリラックス

静中成友  静中に友と成る

– 孤独な時に心を癒やしてくれる

塵裏偸間  塵裏に閑(ひま)をぬすむ

– 忙しい時も和ませてくれる

多而不厭  多くして厭(いと)わず

– 多くあっても邪魔にならない

寡而為足  少なくて足れりと為す

– 少なくても十分香りを放つ

久蔵不朽  久しく蔵(たくわ)えて朽ちず

– 長い間保存しても朽ちない

常用無障  常に用いて障(さわり)無し

– 常用しても害がない

 

※「香の十徳」は11世紀の北宋の詩人黄庭堅(こうていけん)の作で、

その後、一休禅師(一休さん)によって日本に紹介されたと言われています。

香の効用を端的に、そして格調高く伝える詩文と言えます。

 

 

日本の香りの歴史は、仏教の伝来と共に海外から渡来品として入ってきたのが始まり。

日本に伝わったとされる6世紀ごろは、宗教色が強く、清める、供える、祈る ために使われていましたが、

平安時代には「薫物」として教養と趣味の分野にも広がりを見せます。

そして室町時代になると、香木の香りに精神を深め、さまざまな伝統文化を取り入れた「香道」を確立するまでに至ります。

 

お香の原料となる天然香料の中には、薬種として漢方に使われるものがたくさんあり、その因果関係が知れば知るほどとても面白い。

昔の人は、防腐効果として、また、魔除けとしても使うこともあり、研究していくとスピリチュアルと現実の世界の交差が偶然と必然とがあい重なり、とっても魅了される分野です。

 

「香り」の十徳は、何世紀経とうが、今もまったく変わらないのも歴史を学びたくなるポイントのひとつ。

華やかな平安時代の上流社会で、どんなお香の香りが流行ったのか、興味深々。

またこの分野は別途レポートしたいです♪